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二酸化炭素を地中に埋めて脱炭素!?

以下のニュースで触れられていた二酸化炭素の地下貯留について調べました。

www.nikkei.com

 

二酸化炭素の地下貯留とは?

日経の別記事から抜粋します。記事には図解もあり、わかりやすいです。

CO2の地下貯留 脱炭素技術、普及へコスト低減欠かせず - 日本経済新聞

温暖化ガスの一種である二酸化炭素(CO2)を地中に埋め、大気中への放出を減らす脱炭素技術を指す。発電所や化学工場などから排出されたCO2を他の気体から分離して回収し、CO2を通さない地層の下の隙間が多い場所まで掘って気体のまま封入する。こうした一連の技術をCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ぶ。

隙間の多い地層に二酸化炭素を吹き込んで蓋して埋めちゃおうということです。すごい発想です。でも気体を封じ込めるのは難しいと思うのですが、具体的にはどのように封じ込めるのでしょうか?

日本CCS調査株式会社(JCCS)のページに以下の説明がありました。

入れたCO2はどうなるのでしょうか。 | 日本CCS調査株式会社

貯留層に閉じ込められたCO2は、貯留層の隙間にある地層水(飲料に適さない塩水)を押しのけて徐々にその貯留層内に広がっていきますが、上部には遮へい層があるため、長期間にわたり安定して貯留層内に閉じ込めることができます。長い年月を経過したCO2は、地層水に溶解し、さらには周辺の岩石と反応して鉱物化し、安定的に閉じ込めることができると考えられています。

「隙間の多い地層」の隙間には水が入ってるんですね。勝手に空気だと思い込んでいました。で、水に二酸化炭素を溶けさせて、最終的には鉱物化させてしまおうとのこと。確かにそれなら安定しそうです。だいぶ時間はかかりそうですが。

安全性は?

二酸化炭素地下貯留の安全性はどうなんでしょうか?二酸化炭素自体は爆発したりはしないので危険性は高くはないと予想はできるのですが、実際のところはどうなんでしょうか。

資源エネルギー庁の以下のページによると、実証実験を経て安全性を確認したとのこと。一部を抜粋します。気になっていた地震発生時の漏洩リスクや地震の発生原因にならないか、という点についても書かれていました。誰しも不安に思うところは似ているのかもしれません。ただ、震度5弱程度の実績では「安全だ」と言い切るのは無理かな、と思います。ただ、万が一漏れたとしても放射性物質のように人体に大きな影響を及ぼす可能性は低いのでそれほど気にしなくてよいのかもしれません。

安全性とは直接関係ありませんが、二酸化炭素削減目標の達成という観点では、漏洩が起こったときにどのような扱いになるのか気になります。

CO2を回収して埋める「CCS」、実証試験を経て、いよいよ実現も間近に(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁

実証試験により、分離・回収から圧入・貯留までの一貫システムの操業および安全性や環境管理も確認されました。各種モニタリングおよび海洋環境調査を通じて、CCSが安全かつ安心できるシステムであることが確認できました。

また、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震のときは、実証実験をおこなっている苫小牧CCSセンターでも震度5弱程度の揺れを観測しましたが、地上設備に異常はなく、CO2の漏洩を示すデータも確認されませんでした。地震発生の翌月には、地震学などの専門家を含む有識者を招いて、この地震とCCSの関係について検討会を開催。この地震によるCO2の漏洩がないこととともに、CO2を地中に貯留することとこの地震との因果関係があるとは考えられないという共通認識を得ました。

おわりに

二酸化炭素の削減は非常に難しい課題ですが、CCSのように技術的な解決方法があるのであれば積極的に活用するべきだと思います。ただ、地下に埋める、というのがどうにも「臭いものに蓋をする」のような印象があり、本当にそれでいいのだろうかと思ってしまいます。